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便秘と下痢を繰り返すのはなぜ?過敏性腸症候群と大腸がんを見分けるために

数日間便秘でスッキリしない日が続いたと思ったら、今度は急な腹痛とともに水のような下痢になる……。このように「便秘と下痢を繰り返す」症状は、日常生活に大きな支障をきたします。通勤中の電車や大事な会議中に急な便意に襲われる恐怖から、外出そのものが億劫になってしまう方もいます。「ストレスが原因だろうか?それとも何か悪い病気があるのか?」と不安を抱えている方へ向けて、過敏性腸症候群(IBS)と大腸がんの違い、そして確実な診断を得るための除外診断のプロセスについてわかりやすく解説します。

便秘と下痢を繰り返す代表的な2つの疾患

腸の運動リズムが乱れ、便秘と下痢という正反対の症状を交互に繰り返す場合、臨床的に疑われる代表的な病気は「過敏性腸症候群(IBS)」と「大腸がん」です。

自律神経が影響する「過敏性腸症候群(IBS)」

過敏性腸症候群は、大腸の粘膜そのものに炎症や腫瘍といった異常がないにもかかわらず、腸の働きが過敏になってしまう病気です。主な原因は、仕事のプレッシャー、人間関係、環境の変化などの精神的・身体的ストレスです。脳が感じたストレスが自律神経を介して腸に伝わり、腸のぜん動運動が過剰になったり(下痢)、逆に痙攣して動きが止まったり(便秘)します。排便すると腹痛が一時的に和らぐのが特徴です。

腸管が狭くなる「大腸がん」のメカニズム

一方で、極めて深刻なのが「大腸がん」による症状です。大腸の内部にがん(腫瘍)ができると、その塊によって腸の管(通り道)が狭くなります。すると、形のある硬い便(便秘)は腫瘍に引っかかって通り抜けられず、腸内に滞留します。やがて、その便の隙間を縫うようにして、水分の多い泥状の便や水様便(下痢)だけが排出されるようになります。結果として、便秘と下痢を繰り返すという症状が現れるのです。

自己判断は禁物!見逃してはいけない「アラームサイン」

過敏性腸症候群と大腸がんの症状は表面上似ているため、インターネットの「過敏性腸症候群 チェックシート」などで自己判断するのは大変危険です。特に以下のような「アラームサイン(危険な兆候)」がある場合は、がんなどの器質的疾患が隠れている可能性が高いため、早急な受診が必要です。

体重減少、血便、40代以降の発症に注意

  • ・便に血が混じっている(血便)
  • ・ダイエットをしていないのに急激に体重が減った
  • ・夜間、寝ているときに腹痛や下痢で目が覚める 
  • ・発熱を伴う 
  • ・これまで便通異常がなかったのに、40歳以上で初めて症状が出た

過敏性腸症候群の診断には「除外診断」が必須

医学的に「過敏性腸症候群(IBS)」と診断するためには、大前提として「大腸がんや潰瘍性大腸炎などの明確な病気が腸に存在しないこと」を証明しなければなりません。これを除外診断と呼びます。

大腸カメラで粘膜の異常を直接確認する意義

この除外診断を行うために最も確実で効果的な方法が、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)です。先端に高性能カメラがついた細いチューブを挿入し、直接粘膜を観察することで、便潜血検査では見つけにくい平坦な病変や微小なポリープも発見できます。大腸カメラで「腸内はきれいで異常がない」と確認できて初めて、安心してIBSの治療(薬物療法や生活習慣の改善)に専念できるのです。

適切な治療で、トイレの不安がない日常を取り戻す

便秘と下痢を繰り返す症状は、QOL(生活の質)を著しく下げます。「大腸カメラは痛そう」という不安は、鎮静剤を用いた無痛検査で解消できます。我慢を続けず、まずは専門医に相談して原因を明確にしましょう。