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【医師監修】4月から増える食中毒に注意!主な原因・症状・診断・対処法まとめ

春の訪れとともに、気温や湿度が徐々に高くなり、食材の管理にも注意が必要な季節に入ります。
特に4月以降は、冬に多かったノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎に代わり、細菌による食中毒が徐々に増えてきます。

「お弁当を食べたあとから腹痛が…」「刺身を食べた家族がみんな体調を崩した」など、春の食中毒は油断していると突然やってくるのが特徴です。

この記事では、春から夏にかけて増える食中毒の主な原因菌・症状・診断方法・対処法・予防策について、医師の立場からわかりやすく解説します。
これからの季節、安心して食事を楽しむためにも、ぜひ最後までご覧ください。


❗ 春から夏に増える食中毒とは?

■ 腸炎ビブリオ

  • 魚介類(特に刺身・寿司)が原因となることが多い
  • 暖かくなると海水中で急激に増殖
  • 調理器具からの二次汚染にも注意が必要

主な症状

  • 激しい腹痛(差し込むような痛み)
  • 水のような下痢
  • 軽度の発熱
    (※食後12時間以内に発症することが多い)

診断方法

  • 食事歴の聞き取り(生魚の摂取)
  • 必要に応じて便培養検査で菌の特定
  • 脱水や電解質異常の評価も併せて行うことがあります

■ サルモネラ菌

  • 鶏卵、生肉(特に鶏肉)が主な原因
  • 加熱不十分な卵料理や、生卵の摂取で感染することが多い

主な症状

  • 下痢・腹痛・嘔吐
  • 高熱(38℃以上)
  • 潜伏期間は6〜72時間程度

診断方法

  • 食事歴(生卵・加熱不十分な肉類の摂取)
  • 便培養でサルモネラ菌を検出
  • 炎症マーカー(CRP)や白血球数の検査も行います

■ 黄色ブドウ球菌

  • おにぎり、サンドイッチなど素手で作った食品が原因
  • 菌が出す毒素(エンテロトキシン)が原因で、加熱しても無毒化されません

主な症状

  • 突然の激しい嘔吐
  • 吐き気、腹痛(食後2〜3時間以内に急発症)
  • 下痢は少なめで、吐き気が主症状

診断方法

  • 症状と食品摂取歴から診断
  • 集団感染の際には、残った食品から毒素の検出を行うことがあります
  • 一般的には検査なしで臨床的に判断されます

■ カンピロバクター

  • 鶏肉の生焼けや鶏刺し、加熱不足で感染
  • 少量でも発症しやすく、感染力が高い

主な症状

  • 下痢・発熱・腹痛
  • 倦怠感、関節痛、悪寒を伴うことも
  • 潜伏期間は1〜7日とやや長め

診断方法

  • 食事歴(鶏肉・焼き加減)と発症のタイミングから判断
  • 便培養で菌を特定
  • まれに神経疾患(ギラン・バレー症候群)との関連があるため注意

💡 対処法・治療法

■ 自宅でできる基本的な対処法

  • 安静と水分補給を第一に考えましょう
    • 経口補水液(OS-1など)を少しずつ頻回に摂取
    • 嘔吐・下痢が落ち着いてからおかゆ、うどん、バナナなど消化の良いものを摂取
  • 整腸剤(ビオフェルミンなど)で腸内環境を整えるのも有効です
  • 下痢止めはウイルス・菌の排出を妨げることがあるため、使用には注意が必要です

■ 医療機関を受診すべき症状

以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

  • 高熱(38.5℃以上)、意識がもうろうとする
  • 水分がとれない、尿が出ない
  • 血便、激しい腹痛
  • 嘔吐・下痢が3日以上続く
  • 高齢者・乳幼児・持病がある方

🛡 春の食中毒を防ぐためにできること

✅ 食中毒予防の三原則(厚生労働省推奨)

  1. つけない(清潔)
     → 調理前・食事前の手洗い、器具の消毒を徹底
  2. 増やさない(冷蔵・保存)
     → 調理後すぐに冷蔵、持ち歩きには保冷剤を
  3. やっつける(加熱)
     → 中心温度75℃で1分以上加熱が基本!

✅ 行楽シーズンのお弁当も要注意!

  • 調理後はできるだけ早く食べる
  • 常温放置を避け、保冷剤・保冷バッグを活用
  • 手作りおにぎりはラップや手袋の使用がおすすめ

📝 まとめ

春から夏にかけての食中毒は、細菌性の食中毒が中心となります。
腸炎ビブリオ・サルモネラ菌・黄色ブドウ球菌・カンピロバクターなど、それぞれ特徴が異なりますが、共通するのは「食材の取り扱い方」「調理・保存の工夫」です。

体調に異変を感じたら無理をせず、早めに医療機関へご相談ください。
当院でも、急な腹痛・下痢・嘔吐などに対する診察・検査・治療を行っております。
気になることがあれば、いつでもご相談ください。

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