機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアとは

胃もたれ機能性ディスペプシアとは、検査をしても炎症や潰瘍、癌などのようなはっきりとした原因が無いにも関わらず、慢性的にみぞおちの痛みや胃もたれなどの症状が続く病気です。
お腹の不快症状として、食後の膨満感や満腹感、痛み、灼熱感ということもあります。このような不快症状が続くとき、機能性ディスペプシアを疑います。
不快感のために命に関わる状況になることはありませんが、生活の質が低下することが大きな問題です。常に不快感を抱えて生活をすることは、強いストレスになります。
機能性ディスペプシアは治療によって症状が軽くなることがあります。気になる症状があるときはご相談ください。

症状

おおよそ健診を受けた人のうち、10人に1人以上は機能性ディスペプシアと考えられます。上腹部の症状がある人に限ると半数近くは機能性ディスペプシアと診断されます。
機能性ディスペプシアの症状は、心窩部痛や胃もたれなど、みぞおちのあたりを中心としたお腹の不快症状です。海外では、食後の膨満感や早期の満腹感、心窩部痛、心窩部灼熱感という症状を含めています。
また、今まで慢性胃炎とされてきた症状も当てはまります。ピロリ菌感染によっても同じような症状が出ることがあるので、胃内視鏡検査を行って慢性胃炎と診断される時は、まずピロリ菌検査を行い、除菌治療を行うことで症状が消えることもあります。

原因

機能性ディスペプシアになる原因は様々な要素が関係していると考えられます。生まれつきのなりやすさや、虐待を受けた経験など幼少期の生活環境も一因とされています。生活を送るうえでのストレスや性格など、心理社会的な要素も関係します。また、胃や十二指腸の機能に問題がある時や、内臓の知覚過敏、腸内環境の変化、食事習慣によっても症状が出てくると考えられています。

診断

機能性ディスペプシアの診断には器質的疾患(潰瘍や癌などの体の組織に明らかな変化がある病気)を除く必要があります。そのために、血液検査やレントゲン検査、内視鏡検査などを行います。
胃癌や食道癌、膵臓癌などの悪性疾患や逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍、糖尿病や甲状腺疾患といった代謝内分泌疾患、さらには解熱鎮痛剤などの副作用による薬剤起因性疾患などを除外します。
必要な検査を行い、これらの器質性疾患を除外して機能性ディスペプシアと診断します。

治療

規則正しい食事機能性ディスペプシアは「機能性」とあるように、炎症や潰瘍などの器質的な病変や血液検査上の異常を認めません。したがって、治療の目標は本人が満足できる症状の改善になります。
生活習慣や食事に気をつけることで機能性ディスペプシアの症状を和らげることができるかもしれません。しっかりと睡眠をとることや規則正しく食事を摂ることは大事です。そして高カロリーの脂肪食を控えることで症状が軽減できるかもしれません。はっきりとした研究結果はまだありませんが、飲酒や喫煙、コーヒーを避けることも症状を和らげる可能性があります。
薬の治療として、消化管運動機能改善薬(トリメブチン、スルピリド、アコチアミドなど)や漢方薬(六君子湯や半夏厚朴湯)は症状の改善に有効です。また、一部の抗うつ薬や抗不安薬も有用であることがわかっています。なお、保険適応ではありませんが、胃酸分泌を抑える薬も機能性ディスペプシアの症状を緩和します。

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