大腸ポリープ切除

日帰りで行う大腸ポリープ切除

大腸の精密検査として内視鏡検査が優れていることは、直接病変を見て確認できることと、その場で治療ができることです。内視鏡検査を行ってポリープを見つけた場合、その場で治療できると判断すれば、直ちに切除治療を行います。日帰りで治療を行うことで、治療に関する様々な負担を軽減することができるので、当院では積極的に日帰りのポリープ切除を行っています。
ただし、大きすぎるポリープや茎の太いポリープ、外科治療が必要となるかもしれないポリープには、日帰り治療の適応外としています。その場合は入院治療も対応可能な専門病院をご紹介いたします。

大腸ポリープの概要・原因

大腸の表面、粘膜部分にできるイボのように飛び出したものを大腸ポリープといいます。ポリープは腫瘍性のポリープと、非腫瘍性のポリープがあります。腫瘍性のポリープとは、放置しておくと大きくなり癌化する可能性があるものです。非腫瘍性とは、炎症などによって表面が盛り上がったものを指します。
腫瘍性ポリープは良性と悪性(癌のこと)があります。良性の腫瘍性ポリープの代表は「腺腫(せんしゅ)」です。腺腫は癌ではありませんが、放置すると癌に進展することがあります。そのため、良性であっても治療の対象となります。悪性のポリープ、すなわち大腸癌は治療が必要です。大腸癌は早期癌と進行癌では治療の方針が違います。早期癌では、良性のポリープの治療と同じく、大腸内視鏡による切除で治癒することもあります。内視鏡治療で治療可能か、どのように治療するかなどを適切に判断するためには専門医の下で検査、診断、治療を受けることが大事です。

大腸ポリープの症状

大腸ポリープがあるために出てくる症状はほとんどありません。肛門のすぐ近くに茎の長いポリープがある場合は異物感や脱出などの症状を感じることもありますが、稀なケースです。たとえポリープがあっても、目で見てわかるような出血はまず起こりませんし、痛みや腹部の違和感が出ることもないと考えています。
ほとんどのポリープは、大腸内視鏡検査で偶然発見されます。便潜血検査で陽性となって検査を行ったときにポリープが見つかることが多いです。したがって、ポリープを早く発見するためには、症状が出る前に大腸内視鏡検査を受けることが大事です。

大腸ポリープから癌への進展経路

大腸ポリープから癌への進展経路大腸にポリープができて癌に進展するまでには、長い時間(数十年)がかかると考えられています。長年の生活習慣や生まれつき持った癌のなりやすさなどによって、大腸の粘膜の細胞に遺伝子の異常が蓄積されていきます。
従来考えられてきた理論は、大腸癌になるためのポイントとなる遺伝子がいくつも異常をきたした結果、癌化するというものです。遺伝子の異常が蓄積されればされるほど、ポリープは大きくなり、顕微鏡検査で調べると、より大きく正常から逸脱しています(異型度が高くなるといいます)。
一般に、ポリープの大きさが10mm未満では15%程度、10mm以上20mm未満で39%、そして20mm以上になると65.9%が癌化しているとされます。つまり、大きくなるほど、癌化している危険性が上がります。癌になり、さらに進展すると内視鏡治療では治癒できず、外科手術が必要となります。適切に検査を受けることで、早期に治療できる機会を逃さないようにしましょう。

内視鏡で治療できる大腸癌もある

大腸癌の治療というと多くの方は手術治療を考えられます。しかし、一部の大腸癌は内視鏡による切除で治癒できます。内視鏡治療で完治できるか手術が必要かを分けるのは癌の進行度です。
癌を放置した時に一番問題となるのは、癌細胞が元の場所から他の場所へ移っていくことです。これを癌の転移といいます。癌の治療で手術が必要になるのは、癌そのものを確実に取り除くだけではなく、癌が転移しているかもしれない場所も一緒に取り除くからです。転移した癌が小さいときは目で見えません。ですから癌の周りの組織を余分に切除するのです。大腸癌の外科治療の場合、標準的には癌から10㎝ほど離して腸を切除することが多いです。それは、癌の周りのリンパ組織に、目では確認できない癌細胞が転移している可能性があるからです。
では内視鏡で治療できる大腸癌とはどのようなものでしょうか。それは、これまでの研究でリンパ組織や他の臓器に転移しないことが分かっている癌です。つまり、ごく早期の癌の場合はリンパ組織などに転移しないことが分かっているのです。具体的には癌が大腸の粘膜に留まっている場合です。この場合は癌を切除するだけで治癒します。癌を確実に切除できれば、その後に癌が転移する心配はありません。
また、癌の深さがもう少しだけ深い場合(粘膜下層の浅いところまで癌が到達している)、癌そのものの切除は内視鏡で可能ですが、周りのリンパに転移している可能性がわずかながらあります。そうすると、わずかに転移している可能性を考えて外科手術で周りの組織をしっかり切除するか、低いリンパ節転移の可能性(10%程度)を重視して、内視鏡治療で癌そのものを切除して、後は慎重に経過をみていくかという選択が必要です。
大腸内視鏡検査でポリープや癌の治療を行う場合、体の負担を最小限にして、なおかつ適切な治療が望ましいです。そのためには、知識と経験の豊富な施設で検査を受けることが大事だと考えています。

大腸内視鏡検査について

検査

大腸内視鏡検査では、ポリープの大きさ・色調・形態・表面の性状などを診断していきます。それと同時に、検査中にポリープを発見した場合は生検や切除治療を行うことが可能です。当院では、特殊光と拡大内視鏡を持ち合わせた最新の内視鏡器機による検査を行っているので、より精度と安全性の高い検査が可能です。

検査費用

  1割負担 3割負担
初診(感染症採血含む) 約700円 約2,000円
大腸内視鏡検査のみ 約2,500円 約7,500円
大腸内視鏡検査+組織検査 約3,000~5,000円 約10,000~16,000円
大腸内視鏡検査+ポリープ切除 約7,000~10,000円 約20,000~30,000円

内視鏡治療の合併症と注意事項

大腸ポリープの切除治療で起こる主な合併症は出血と腸の穿孔です。ポリープ切除後の出血は、ほぼ全てのケースで処置後1週間以内、大部分は3日以内に起こります。処置をした時に血が出ていなくても、後から出血することがあります。処置をした部位が治癒する過程で組織が一時的に脆弱になることが原因で起こると考えられます。出血した場合は、出血部位から肛門にいたる腸の全ての部位に血液が付着します。そのため血便がしばらく続き、出血が止まったかの判断が難しいため、内視鏡検査を行って出血の確認、処置の要否を判断する必要があります。輸血を要するような大量出血は稀ですが、止血を確実に確認するためにも内視鏡検査を受けることを勧めます。
腸の穿孔は非常に稀な合併症ですが、大きなポリープを一塊で切除しようと深くつかみすぎて処置時に穿孔する場合と、焼灼処置を行った組織が後から穿孔する(遅発性穿孔)とがあります。穿孔すると腸の組織がお腹の中に漏れるため、熱が出たり強い腹通が生じたりします。穿孔の状況によっては緊急手術が必要となることもあります。当院では穿孔する危険性があるような大きなポリープの処置をすることはほぼありませんが、万が一検査後に体調が悪くなった際はご連絡ください。

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