大腸内視鏡検査でわかる病気

大腸ポリープ

大腸の表面、粘膜部分にできるイボのように飛び出したものを大腸ポリープといいます。ポリープは腫瘍性のポリープと、非腫瘍性のポリープがあります。腫瘍性のポリープとは、放置しておくと大きくなり癌化する可能性があるものです。非腫瘍性とは、炎症などによって表面が盛り上がったものを指します。
腫瘍性ポリープは良性と悪性(癌のこと)があります。良性の腫瘍性ポリープの代表は「腺腫(せんしゅ)」です。腺腫は癌ではありませんが、放置すると癌に進展することがあります。そのため、良性であっても治療の対象となります。悪性のポリープ、すなわち大腸癌は治療が必要です。大腸癌は早期癌と進行癌では治療の方針が違います。早期癌では、良性のポリープの治療と同じく、大腸内視鏡による切除で治癒することもあります。内視鏡治療で治療可能か、どのように治療するかなどを適切に判断するためには専門医の下で検査、診断、治療を受けることが大事です。

大腸ポリープについて

大腸癌

大腸癌は近年とても増えている癌で、生涯の間に約10人に1人が大腸癌にかかります。決して珍しい病気ではありません。大腸内視鏡を受けることで大腸癌の死亡率が大きく下がることが研究で明らかになっています。もしも検査で癌が見つかったとしても、早期で発見すればするほど治癒する可能性があがります。大腸癌は60歳代で診断されることが一番多いです。血便や腹痛などの症状がある場合は勿論、症状が何もなくても50歳以上になれば必ず一度は検査を受けることをお勧めします。

潰瘍性大腸炎

主に大腸の粘膜に生じ、しばしばびらんや潰瘍を引き起こす炎症性の病気を潰瘍性大腸炎といいます。原因は不明で、厚生労働省から難病指定されています。性別は関係なく10代から30代の成人で多く発症しますが、小児や50代以上の年齢層でもみられます。最近では高齢者の発症も増えてきています。

潰瘍性大腸炎について

クローン病

潰瘍性大腸炎と同じく原因は不明ですが、免疫異常などが関与していると考えられる、小腸や大腸に炎症、潰瘍を認める病気です。病気が進行すると腸が狭くなったり、穴が開いたりすることがあります。クローン病は口から肛門まで、消化管の全ての場所に生じることがあります。また消化管以外の場所にも合併症を起こします。
大腸には特徴的な潰瘍所見や敷石像と呼ばれる粘膜の変化を認めます。また、肛門に難治性の裂肛や潰瘍、痔瘻を作ることもあります。これらの所見によって、腹痛や下痢、体重減少、発熱、あるいは肛門の痛みなどが生じます。10代後半から20代にかけてが発症しやすい年齢です。社会生活に影響が出ることもあるので、診断した場合は炎症がひどくならないように治療を継続する必要があります。

大腸憩室症

過剰な腸の蠕動運動などのために腸の中の圧が高くなり、腸壁の弱い部分が外側に突出したものを憩室といいます。大腸に憩室ができることを大腸憩室症といいます。大腸に憩室があるだけでは特に症状はなく治療の対象とはなりません。しかし、憩室は壁が薄くなっており、血管が破綻して出血することがあります。あるいは憩室に感染が起こって憩室炎となることもあります。このような大腸憩室出血や大腸憩室炎では血便や、腹痛・発熱といった症状が出現し、治療が必要になります。

虚血性腸炎

全ての体の組織は血液から供給される酸素や栄養を必要とします。血流が途絶えると、途絶えた組織は大きなダメージを受けます。例えば心臓の周りの血管が詰まることで心臓の組織が壊死する心筋梗塞となります。脳の血流を保つ血管が詰まると脳梗塞になります。腸の周りを流れる血管が完全に詰まることは稀ですが、一時的に血流が低下して、腸の粘膜に炎症や潰瘍が生じることがあります。これが虚血性腸炎です。虚血性腸炎は腸の周りを流れる血管の構造上、左側にある大腸(S状結腸や下行結腸)に生じやすい特徴があります。
虚血性腸炎では突然腹痛が生じ、そしてそれに続いて血便が出ることが多いです。発症しやすい部位に一致して、多くの場合で左下腹部痛が最初の症状です。虚血性腸炎の血流障害は一過性であることがほとんどです。絶食として腸管を安静に保ち、腸の炎症が改善するのを待ちます。

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